【コラム】自民党総裁選まで100日

 国会の会期は6月20日までだが、7月上中旬まで延長される可能性が高い。そして閉会とともに、自民党総裁選の火ぶたは切って落とされる。総裁選の期日は9月20日頃ともささやかれており、ちょうと100日後である。今のところ、現職の安倍晋三総裁(首相)に加え、石破茂元幹事長、野田聖子総務相の3人による争いになると見られている。

 自民党総裁選は、実質的に首相を選ぶ選挙にほかならない。河野洋平氏や谷垣禎一氏のように首相になれなかった総裁もいたし、細川護煕氏や羽田孜氏、村山富市氏、さらに鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の各氏のように、自民党以外から首相が誕生した例もある。だが、自民党が衆参両院で圧倒的多数の議席を持っている今日、総裁=首相となる。

 かつて総裁選は党所属の国会議員のみで争われたが、党の近代化を図るため、1978年と82年には本選挙に先行して、党員による予備選挙が実施された。その後、国会議員票と地方票が合算される方式に改められ、2014年の総裁公選規程の改正でその比重は1対1となった。

 現在、自民党所属の国会議員は405人(両院議長を除く)おり、地方票にもこれと同じ405票が与えられるため、総裁選の分母は810票となる。地方票の配分は、100万人近い党員の投票数に基づき、各候補者に割り当てられる。そして仮に第1回投票で406票を得る候補者がいれば当選人となるし、いなければ決選投票に持ち込まれる。

 永田町は一晩で情勢が激変しかねない世界であり、予断を許さない。だが、政界の事情通によれば、安倍首相はすでに議員票の6割を固めているという。森友問題やセクハラ問題でどれだけひんしゅくを買っても、安倍首相が麻生太郎財務相を切らない理由の一つはここにある。59人を擁する麻生派が主流派から離脱すれば、安倍政権はいきおい脆弱になる。

 一方、世論調査によっては、安倍首相よりも石破氏のほうが上位に立つことがある。だが、ある閣僚経験者が「富士山と桜、それに石破は遠くから見るのがいい」と指摘するように、石破氏の支持率は永田町に近づくにつれて低くなる。国民の中では4割近くあっても、党員では2割、議員の中では1割台だという。

 確かに6年前の総裁選では、地方票で石破氏は安倍首相を上回り、第1回投票で1位となった。さらにさかのぼれば、2001年の総裁選で小泉純一郎氏は議員票で劣勢に立たされながらも、「自民党を変える」「自民党をぶっ潰す」の雄叫びが国民や党員、さらには国会議員を動かし、優勢と見られていた橋本龍太郎元首相に圧勝した。

 安倍内閣の支持率は4割で下げ止まっているとはいえ、5割近くの国民が交代を期待している。主要派閥を味方につけておくことによって安倍首相の総裁三選の道は開かれるかもしれないが、国民世論と党内世論の間に大きな乖離(かいり)が生じれば、来年の統一地方選や参院選で調整されることを、われわれは「民主主義」と呼ぶ。

(政治アナリスト 楠 拳太郎)

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