【コラム】来週は安倍政権にとっての正念場

 間もなく各地で梅雨入りすると見られるが、6月10日から始まる週は、安倍晋三政権にとっても暗雲が立ち込めることになるかもしれない。今週後半、安倍首相は外遊に出掛け、トランプ米大統領との首脳会談にも臨むが、来週末はもはやゴルフなどを楽しむ余裕がないどころか、政権に黄信号がともることもあり得る。

 モリカケ(森友、加計学園)問題でどれだけたたかれても、内閣支持率が4割を大きく下回らない理由の一つは、安倍首相に代わりうる者がいないからである。今の野党に政権獲得を願うのは、八百屋で魚を求めるに等しいし、自民党の中でも安倍首相以外に現実的な首相候補は浮上していない。石破茂元幹事長は出馬に意欲を示しているが、永田町での人気は高まっていない。

 しかし、10日には新潟県知事選が行われる。国会で野党はバラバラだが、知事選は事実上の与野党一騎打ちの構図で、各種世論調査によれば接戦が繰り広げられている。官邸は「あくまでも地方選挙」と予防線を張るが、閣僚経験のある非主流派議員の一人は「負ければ、『安倍では来年の統一地方選や参院選は戦えない』との空気が広がる」と見る。

 新潟知事選までの間、野党は与党にさまざまな要求を突き付けてくるだろうし、与党はそれを突っぱねるだろう。そして、たとえ官邸が「国政に影響を与えるものではない」と言い張っても、知事選の結果はその後の国会、さらには政権運営に大きな影響を及ぼすことになる。その意味では、新潟県民が国政の行方を左右するともいえる。

 一方、安倍首相の強みの一つは外交であり、トランプ米大統領との個人的な信頼関係を売りにしてきた。だが、首脳会談で鉄鋼や自動車などに対する追加関税措置が解除されなければ、何のための信頼関係なのか疑われかねない。自民党内からは「トランプにとって安倍総理は、単に人のいいお得意さまなのではないか」(中堅議員)との声もささやかれる。

 もう一つの大きな注目点は、12日に行われる予定の米朝首脳会談である。北朝鮮の核完全放棄は極めて重要であるが、わが国にとって拉致問題の解決はそれに劣らない。北朝鮮が拉致問題解決に前向きな態度を示さないどころか、首脳会談の俎上(そじょう)にも載らなければ、安倍首相の面子は丸つぶれとなる。

 新潟知事選の敗北、さらに関税や拉致問題でのゼロ回答は、安倍政権にとって最悪のシナリオであることは間違いない。だが、それがすぐに「安倍降ろし」につながるかどうかは、まだ分からない。現在、すでに400人近くの自民党議員の半数以上が安倍三選を支持しており、彼らが瞬時に掌を返すとは考えにくい。

 しかし、とりわけ様子見の議員の中でバロメーターとされているのが「青木の法則」である。それは青木幹雄元官房長官によって編み出されたもので、内閣支持率と自民党支持率を足しても50%を下回れば内閣は倒れるというものである。次回の世論調査でそのような状況になれば、結果的に6月10日の週が分水嶺だったことになるかもしれない。

(政治アナリスト 楠 拳太郎)

あなたにおススメの記事

あわせて読みたい

関連記事

ビジネス

地域

政治・国際

スポーツ

株式会社共同通信社