
新年度がスタートした。龍谷大(京都市)はこのほど、企業の上司・部下1000人に聞く「世代間ギャップ」について調査。「部下のことを理解したいが、踏み込みづらいと感じている『片想(おも)い上司』」と、「仕事とプライベートにきっぱり線を引き、反応の読めない『仮面部下』」という実態が浮き彫りになったとする結果を公表した。
調査は1月11~13日に、企業に勤める部下(20~30歳)と上司(45~60歳)各500人にインターネットで実施。2023年4月に開設を予定している心理学部(仮称)で、教授に就任予定の水口政人氏が考察した。
職場の上司や部下に「ギャップを感じているか」との問いに、部下の51・6%、上司の44・8%が「とても感じている」「やや感じている」と回答。要因の上位5位は「立場」「年齢」「常識」「時代背景」「コミュニケーションのすれ違い」だった。
上司の75・0%が部下を理解したいとする一方、部下は「理解したい」が62・0%で13・0ポイントのギャップがあった。上司は45・2%が「部下の考えていることが分からない」と戸惑う様子がうかがえるという。
ギャップについて自由回答を求めたところ、上司は「不服の顔を見せるが意見を言わない」「反応がうすく真意が分かりづらい」と反応のうすさに困惑し、「仕事の範囲に線引きをしている」「言われていないからやらないというスタンス」などの割り切る姿勢に「踏み込みづらさ」を感じている様子。一方、部下は「会話のテンポ」「ノリの違い」といったコミュニケーションの違和感による上司との「話しづらさ」を感じているようだという。
このほか、部下の半数以上は「SNSで休みを伝えても良い」と考えているが、上司の理解は4割以下でスタンスの違いがあった。「飲みニケーションは必要」と感じるのは、上司・部下ともに4割程度にとどまったことから「コロナの影響もあり、飲みニケーションは消滅の兆しかも」と分析した。
調査では上司、部下ともに約7割が「価値観が合わないとあきらめている」としていることについて、水口氏は「あきらめることは、良好な関係構築の第一歩」と指摘する。水口氏は「組織の良好な関係構築には、良質なコミュニケーションが不可欠で、相手の言動や態度をそのまま受け入れる『全肯定』の姿勢が重要だ」とした上で「あきらめることでイライラが解消されるので『あきらめ』をバージョンアップした『前向きなあきらめ』が問題解決につながる」と説明している。