
東京都立大と埼玉県環境科学国際センターの研究チームは、特定外来生物に指定されているクビアカツヤカミキリの分布拡大を予測できるシミュレーションモデルを開発した。
クビアカツヤカミキリは、サクラやウメ、モモ、スモモなどバラ科の樹木を食い荒らし、枯死させるなど、観光地や果樹園に深刻な被害をもたらしている。駆除の方法についての研究はされているものの、駆除のための労力をどこに集中すべきかという検討はほとんどされていないという。そこで研究チームは、コンピューターシミュレーションと地域住民らの協力を得て収集したクビアカツヤカミキリの分布データを組み合わせ、分布拡大を予測できるようにした。このモデルを使えば、駆除のための労力を効率的に配分することができるようになる、としている。
研究チームは、埼玉県全域を対象とした分布拡大予測を実施したところ、山林の比率が高い西部への分布拡大は限定的である一方、都市化が進み、サクラの名所が複数存在する中央から東部にかけては著しく分布を拡大する可能性が高いことが示されたという。
研究チームは、東京都立大大学院 都市環境科学研究科の大澤剛士准教授、埼玉県環境科学国際センターの角田裕志研究員、三輪誠副室長、嶋田知英室長らのグループ。研究成果は、フィンランドで発行する国際学術誌「マネージメント・オブ・バイオロジカル・インベージョンズ」に掲載された。