
新型コロナウイルスの感染拡大で、医療機関の受診を控える傾向が強くなり、健康診断やがん検診の受診率が下がったといわれている。ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療機器部門、メディカル カンパニー(東京都千代田区)は、昨年に続き「健康診断・人間ドック、がん検診等、医療受診に関する意識調査」を実施。「健康診断・がん検診を控えたい」という傾向が昨年の5割台から3割台に改善したなどとする調査結果を公表した。
調査は11月12~14日に、全国の20~79歳の男女1万5000人にインターネットで行った(2020年は10月に実施)。今回は、がんの診断・治療を行っている医師300人にも調査を行い、生活者と医師との認識の差も検証した。(医師は11月17~19日にインターネットで調査)
2020年調査で健康診断・がん検診を「控えたい(控えたかった)」が最初の緊急事態宣言が出た時期の4~6月で5割台あったのに対し、今年の調査では第4波(4~6月)、第5波(7~9月)の時期でも3割台だった。ただ、今回の調査で約2割が「来年度控えたい」としており、依然不安を抱えている様子もうかがえた。
また、がん検診に関しては、2021年度中に「受ける予定はない」「わからない」が約6割だった。理由として「コロナ感染リスク」「体の変調を感じない」といった声があったという。
一方、医師への調査では、9割以上の医師が「コロナの感染拡大でがんの早期発見・がん治療に影響している」と回答。また「感染拡大ががん治療に影響を及ぼすことが不安」(8割以上)、「検診回避の傾向を懸念」(8割以上)との意識も明らかになった。
こうした調査結果について、公益財団法人がん研究会有明病院の佐野武病院長は「検診や人間ドックを合わせると、日本のがんのほぼ半数はがんによる症状が出る前に発見されている。毎年検診を受けていたのに、1回先延ばししてしまったことで、早期の発見を逃してしまうことがあり得る。症状がなくても検診でがんが見つかるかもしれないということを忘れないでほしい」などとコメントしている。
・調査の詳細は同社プレスリリース:https://www.jnj.co.jp/media-center/press-releases/20211214