このコーナーでは、千葉の鴨川で農業を営む傍ら歌手としても活動する半農半歌手・Yaeさんに、ORGANICな生活をつづってもらいます。Yaeさんは父親・藤本敏夫さんが残した鴨川自然王国を受け継いでいます。王国の棚田は無農薬で有機栽培。水も雨水のみです。循環型社会の小さなモデルがそこにはあります。
その王国に都会から、敏夫さんが提唱した「農的生活」をするべく人々がやってきます。国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)が提唱されるなか、彼らは消費するだけという立場から、作る側にも接点を持ちたいと思う人たちです。Yaeさんが彼らと米や大豆を育てたり、アースデイなどのイベントに関わる様子を、Yaeさんならではの視点からお届けします。

土にふれるといろんなことに気づく。
そこに生きる雑草たちはその土の言葉を表現しているかのよう。
もうずっとずっと昔から自然はここにいて、教えてくれていた。
削られていく山も、埋められていく海も。焼かれていく森も。
人は悩んだり苦しんだり。喜んだり、怒ったり。忙しい。
幸せになるために四苦八苦して、結果いろんなものを失ってきた。
何もしなければいいのに。
人類がこの世からいなくなれば、自然は元の息を吹き返して再生するだろう、という番組を見た。
全くその通り!答えは簡単。地球に人間が一人もいなくなればいいんだ。
チェルノブイリの森のように美しい森がよみがえるのかもしれない。
人が汚してきた地球は自然に再生する。

じゃあ、人が生まれてきた意味は?
土に触れてみると教えてくれる。ああ、君も土なんだよと。
体は土のようなもので、無数の微生物や菌でできている。
菌が私。目に見えないものがこの世界を作っている。
前を向いて急ぎすぎた私たちは時に立ち止まって、足元の土を触ってみよう。
もしそこに土がなかったら、公園に行こう。電車に1時間も乗ったら山がある。
日本の7割は山だ!山に行ってみよう。それは難しいことじゃない。
これからいろんなことが起こるだろう。戦争も天変地異も起こるだろう。
土の中で根っこたちは何が起こるのか知っていて、そのように生きている。
あらがうなかれ。
自然に生きる。土に生きる。これしかない!
つつましく。しなやかに。
厳しい冬の後には美しい春がきっと来る。
命あふれるこの里山に感謝して、今日もわなの見回りに行こうっと。
やえ 東京生まれ。本名・藤本八恵。シンガーソングライター。故藤本敏夫・歌手加藤登紀子の次女。三児の母。2001年ポニーキャニオンからアルバムCD「new Aeon」(ニューイーオン)でデビュー。歌手活動の傍ら、家族とともに自然豊かな里山「鴨川自然王国」で、農を取り入れたスローライフを送る。国内外を問わず、社会貢献の支援イベント等のパフォーマンスも積極的に行っている。2020年に20周年を迎え、加藤登紀子プロデュースによるアルバム「On The Border」を10月にリリースした。