新型コロナは「長距離走の覚悟」が必要 FCAJセミナーで識者が緊急提言

FCAJ 日本工学アカデミー栄誉フェロー・小泉 英明 氏

 

 社会課題への対応策や新産業を構想する企業・大学・行政・NPOの連携組織、一般社団法人FCAJはこのほど、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行をきっかけに変容する社会の在り方を提示する緊急提言を発表した。

 提言は、8月27日開催のオンラインセミナーの結果をまとめた。新型コロナは一過性のものではなく「長距離走の覚悟」が必要だと強調。その上で社会と科学の対話が重要として、多くのデータ、事実をベースにした「科学的視座」と「倫理」に基づいて取り組みの優先順位を決める必要がある、と主張している。

 提言は同オンラインセミナーで講演した日本工学アカデミー栄誉フェロー・小泉英明氏や慶応大GRI所長・安井正人氏の見解も紹介。小泉氏は、感染拡大防止の“隔離”対策と経済・文化活動を同時に進めるためには「正確な大量検査を実現する仕組みづくり」が肝要だと指摘。人々の唾液などの検体や下水試料を集約し一挙に全自動の廉価なPCR検査や高正確度抗原・抗体検査を迅速に実施する「大規模検査工場」の必要性を強調した。また感染爆発を防ぎつつ経済・文化活動を可能にし、弱者が犠牲にならない社会を実現するためには、科学に基づいた施策の遂行と個人一人一人の倫理観、科学的リテラシーが欠かせないとした。

 安井氏は、技術革新に伴い「医者を頼る診断・診療の医療」からIoT(モノのインターネット)技術を駆使した「予防中心の在宅モニタリング医療」へ転換する可能性に言及。例えば「身体の3分の2を占める水の動態をモニタリングし、生体システムの変容をデジタル抽出する」技術を開発すれば、感染症の予防診断や、「潜伏期」にウイルス感染を把握できる、と説明した。一方、モニタリングで取得するバイオデータは「個人情報をどう扱うか」という倫理的な課題を提起するため、医療・経済・法律など横断的な対話の場の重要性が今後ますます高まる、と主張した。

 

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