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「新型コロナ収束後の世界と企業経営」を緊急調査 長期化で「4社に1社」が売り上げ6割の達成も困難に!

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が全国で解除され、「新しい生活様式」へ向け、そろりそろりと動き出した日本。多くの国民の関心は、新型コロナ収束後の日本経済がどうなるかだろう。それを占う一つの材料となる、興味深いアンケートが発表された。

 共同通信グループで市場調査を手掛ける矢野経済研究所(東京)は、第一線で活躍する企業経営者・ビジネスパーソンを対象に「新型コロナ収束後の世界と企業経営」に関する緊急調査(4月22日~5月18日)を行い、調査結果を6月2日に発表した。有効回答数は810人で、回答者の約4割が企業経営の意思決定に携わる役員や上級幹部社員。業種は製造業、情報通信業の比率が比較的高いという。

 まず注目されるのが、「新型コロナの収束時期と通期業績への影響」だ。調査結果によると、6月末までに収束した場合は、通期の売り上げは当初予想の8%減程度にとどまり、通期業績への影響を1割内に止めることができる明るい見通し。だが、収束が7-9月期になると17%減になり、10-12月期まで長期化した場合は27%減に下振れが拡大。4社に1社は通期計画の6割達成も困難になるという。

 

新型コロナウイルス収束時期と企業の業績に与える影響

 

 売り上げ減の理由としては、外出自粛や休業要請による需要減、テレワークによる営業活動の制約やイベントの中止などで営業機会の喪失があることなどが挙げられた。東京五輪・パラリンピックの延期による影響は14.6%にとどまるという。

 業種別ではIT、教育・学習支援は影響が少ないのに対し、自動車など輸送機器、宿泊・飲食、アパレルなど繊維関連はダメージが大きいのが特徴だ。医療・福祉業界関係者は「感染が拡大することで通常医療の提供が制限され、経営に重大な影響を与える」と推測している。

業績別 新型コロナウイルス収束時期と企業の当期業績に与える影響

 

 新型コロナは、企業の経営戦略にも大きな影響を与えている。感染拡大を契機に新たに始めた取り組みを複数回答で聞いたところ、55.1%が「在宅勤務・テレワーク」と回答。新規事業強化(19.3%)、生産体制の省人化・自動化(17.1%)が続いた。今後、検討すべき施策としては「働き方の多様化、副業の容認」(48.9%)、「管理部門の効率化・省人化」(43.5%)などで、働き方が変わっていくことをうかがわせる。

 矢野経済研究所では、製造業をはじめ、企業にとってサプライチェーン(部品の調達・供給網)の見直しといったビジネスの在り方についても再考を促す機会となったとみている。ウイルスの感染が世界中に広がったことで、海外展開など生産体制を見直す動きが出ることも予想されるからだ。今回の調査では「本業の環境変化への適応力・耐性が意識づけられた」とした上で「新規事業や事業の多角化の重要性があらためて認識される結果となった」と分析した。

 さらに「中国リスク」についても言及。「新型コロナウイルスは生産拠点、市場としての中国リスクをこれまで以上に強く意識させる契機となった」と指摘した上で、「中国依存度の軽減が戦略的に加速することは間違いない」と強調している。

最後に、「アフターコロナ」についての回答者の意識が興味深い。「新型コロナを契機とした変化は一過性で、社会の在り方や価値観は変わらない」という質問に対し、85.1%が「そう思わない」と回答。「元に戻ることはない」との認識が広がっていることが分かった。

 具体的に予想される変化としては、産業分野で「人工知能(AI)やロボットの活用でIT化が一挙に進む」「インバウンドの長期低迷などで内需志向が強まる」との意見が出た。社会生活に関しては「人口集中から分散へ」「節約志向が高まる」「社会の分断が避けられない」と予測。国際関係については「自国第一主義が強化され、経済のブロック化が進む」「米国の地位が低下。中国の影響力は拡大するが世界のリーダーとはなり得ない」との声も聞かれた。

 今回の調査結果について、矢野経済研究所の水越孝社長は「新型コロナの影響は広範囲で国内にとどまらないことが、企業業績の先行きを読みにくくしていることが分かった。今後はさまざまなリスクを減らすためにIT化の加速など事業構造の見直しが進むのではないか」と話している。

 調査結果は、詳細な分析を加えた戦略レポートとして6月末をめどに出版される予定。

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