【生産性を上げる会議術】 第6回 議事録よりいいかも!?議論の構造化・可視化手法

はじめに

 「議事録は新人の教育のため。」こんな昭和っぽい考えの会社も多いのではないだろうか。

確かに一理あるが、これは新人が書いた議事録を先輩社員がきちんとチェックして、理解が足りないところを指摘し訂正するまでフォローをしていればの話だ。

 実際にそこまでフォローできていない会社は多い。社内会議の議事録をわざわざ見ている人は少なく、せっかく議事録を書いても誰からもフィードバックが得られず無駄に終わるケースもよくある。

 そこで、社内会議では議事録を廃止する会社も増えてきた。会議中にホワイトボードを用いて議論を整理し、最終的にそれを写真で撮影すれば議事録代わりとして十分という割り切りだろう。

 だが、これも一長一短。手間は削減できるが、書記の理解度が足りない場合や、字が下手な場合に、議事録として意味をなさなくなる。その結果、前に決めた内容を忘れて同じ議論を繰り返すリスクが増加してしまう。

 会議の内容をうまく整理する方法がないものか。そんな疑問をいだいている際に、ストラクチャードコミュニケーションという手法を知り、同手法の開発者であり、ストラクチャードコミュニケーション協会の理事でもある加島一男氏に取材をさせていただいた。

ストラクチャードコミュニケーションとは

 ストラクチャードコミュニケーションは、情報の構造化と図解による視覚化を兼ね備えた手法で、速く確実な相互理解をすることを目的としている。


(ストラクチャードコミュニケーションのHPから転載 https://www.facebook.com/scasnshd/

特徴

 図解は丸と三角と四角を組み合わせたもので、絵心がない人でも簡単に使え、シンプルですばやく描けるのが特徴だ。

 そのため、会議中に話をしながらでも、議論を止めずにホワイトボードに描くことができる。

 そして、議論をどのように整理をすればよいか、よく使う図解の10パターンが提供されている。

図解の基本パターン

 よく使われる図解のパターンは以下の通りだ。

 ・並列と階層

 並列と階層は、話題の上下関係・親子関係の有無を表現するために用いる。

 並列は、個々の話題が同じ程度の重みを持っており、上下関係や前後関係がない場合に適している。

 階層は、個々の話題に上下の関係がある場合に適している。

 例えば家族を紹介する際、左のように横並びに書くと公平な関係性のように見えるが、右のように縦並びに書くと家族の上下関係が推察できる。

 よくある議事録のように、箇条書きにすると、こういった関係性があるのかないのかの情報が抜け落ちてしまう。

・交差と包含

 交差と包含は、話題の集合関係を示すための図解方法だ。

 交差は、話題の重なり合う部分や差異について表現したい場合に適している。

 包含は、個々の話題が大小の関係にあり、包含される場合に適している。

 例えば、会社と私の関係を左のように交差で描くと、会社以外の自分を強調できる。他方で、右のように包含で描くと、会社に属する従順な私を表現することができる。

・配置と比較

 配置と比較は、話題同士を比べる際に用いる。

 配置は個々の話題の位置関係を表現したい場合に適している。例えば、ストラクチャードコミュニケーション・グラレコ・議事録の位置関係を示すと下記のようになる。(グラレコの詳細は前回記事

 比較は話題をいくつかの項目で比較する場合に適している。例えば、下記の図では、給料は横ばいだが尿酸値だけが上がっていく悲哀を表現している。

・順列・階段・推移

 順列・階段・推移は、話題の時間的な前後関係を示す際に用いる。

 順列は話題の順番が決まっている場合に適している。

 階段は話題が上下の関係にある場合に適している。

 そして、推移は時間の推移により変化する話題に適している。

・相関

 相関は、話題が相互に関係性がある場合に適している。話題同士に原因と結果のような因果関係がある場合は、矢印で因果関係の方向性を示すとわかりやすくなる。

 上記の図では、「たくさん食べる」と「太る」には因果関係がありそうなので矢印で結んでいる。他方、運動しないから太るのか、太っているから運動しないのかはよく分からないので、矢印ではなく線で結んでいる。

図解パターンの選び方と利用シーン

 では、図解パターンはどのように選べばよいのだろうか。加島氏によると、描く人が「主観的に選ぶ」ことが重要だという。主観的に選ぶことによって、相手のイメージと一致しているか否かがはっきりするからだ。

 例えば、商談で顧客の要望をヒアリングするシーンを想像してみよう。多くの人は顧客から聞いた内容を自分のノートにメモをして、後に議事録で確認をするのではないだろうか。

 これだと、誤解があってもその場で気付くのが難しい。後から議事録で確認をしても、細かい発言まで覚えていないことも多いし、小さなニュアンスの違いは見過ごしてしまう。たとえ小さな違いでも、大きな金額の商談では致命傷になることもある。

 もし聞いたその場で、自分の主観的な理解を図解して見せながら話をすれば、顧客も認識の差異に気付きやすい。話題の関係性を文字だけでなく、図で示すことで、直感的にイメージが合っているかどうかが分かりやすくなるからだ。こうして、顧客との認識の齟齬(そご)を減らすことができる。

まとめ

 筆者も取材の前に勉強会に参加させてもらったが、ほとんどの人が1時間ちょっとの間に、いくつかの図解を使えるようになっていた。なるほどと感心するような分かりやすい図解をする人もいた。

 毎回分かりやすい図解ができるようになるにはある程度の練習が必要かもしれないが、簡単に使い始められるので、実際の会議で使いながら自分のものにしていくのがよいのではないだろうか。

【著者略歴】

伊勢川 暁(いせがわ あきら) ドリーム・アーツ サービス&プロダクトデザイン本部 INSUITEグループ マネージャー。組織のコミュニケーションと知的活動を可視化するビジネスチャット「知話輪」の立ち上げに従事。個人でも、人工知能(AI)で会議を短く創造的にする「minmeeting」のサービスを立ち上げ中。

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