プロでも健在“川内流” 夫婦で目指せ、理想のランナー

 量が“質”に転じた見事な例は“公務員ランナー”川内優輝選手(32)だろう。これまでのフルマラソン完走92レース、うち2時間10分切りは13回の日本人最多記録を誇る。先日走ったと思ったら、また走る―東奔西走の健脚ぶりをみせる市民ランナーの星だ。

 その川内氏が4月からプロランナー(あいおいニッセイ同和損保所属)に転向し、自己ベスト更新、さらに世界トップ選手を目指す。フルタイムで務めた公務員生活ともお別れだ。

 ただ日本、世界のマラソン大会に数多く出場して強くなる型破りの「川内スタイル」は変えない。このスタイルの上に川内氏が目指す「理想のプロランナー」像が築かれているからだ。

 東京都内で4月3日開かれた、あいおいニッセイ同和損保との所属契約記者会見で川内氏は「僕の前には理想のプロランナーはいない。だから自分自身が理想のプロランナーになる」とプロ転向の決意を表明。同氏の目指す理想のプロランナーとは「大きな大会で結果を残した上で、日本各地でファンらに自分の生の走りを見せ、走る魅力を伝えられる選手」。そこには地域貢献、地方創生を願う川内氏の熱い思いが込められている。

 今回、数ある中からあいおいニッセイ同和損保を所属先に選んだ理由は、同損保が全国で展開する地域を元気にする地域貢献事業「マラソンキャラバン」の理念に川内氏が共感したからだ。同損保が各地の自治体と連携して川内氏参加のマラソン大会、講演会などを実施する。自らの走りを通じて地域を元気にする川内氏のランナーとしての「理想」と、同損保の地域貢献をうたう事業の「理念」が一致した。

 「大きなマラソン大会」での当面の目標は今秋参加見込みのドーハ世界選手権でのメダル獲得。「プロ転向でどんなことができるかワクワクしている」と自信をみせる。

 記者会見には同じ長距離選手で婚約者の水口侑子さんが駆け付け、近く夫になる川内氏を激励。「時には思い通りにならないことがあるかもしれないが、何でも相談してもらって一緒に解決していきたい。プロになると結果を求められるが、あなたが多くの人から愛されるランナーになるように応援する」と長い人生二人で共に駆け抜けると約束した。

 川内氏は「二人で日本中、世界中の大会に挑戦したい」と文字通り夫婦“二人三脚”でプロの世界に挑む決意で“妻”の言葉に応えた。

 長距離ランナー同士で共に支え合い成長する「理想の夫婦」を手にした川内氏はすでに「理想のプロランナー」に一歩も二歩も近づいているはずだ。

婚約者の水口侑子さん(右)の話を笑顔で聞く川内優輝選手=4月3日、東京都渋谷区

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