「60代は経営者人生、会社の転換点」 日本M&Aセンター・三宅社長が講演

  「60代は経営者人生の総仕上げの時期。あなたはどうやって過ごしますか?」―。株式会社日本M&Aセンターの設立に参加し、数百件のM&A(企業の合併・買収)成約に関わった同社の三宅卓(みやけ・すぐる)社長(66)の最新刊「後悔を残さない経営」出版記念セミナーが11月15日、東京都港区のホテルで開かれた。

 「後悔を残さない経営」(あさ出版、税別1600円、286ページ)は、中堅・中小企業のM&Aの第一人者といえる三宅氏が「社長が60歳になったら、考えるべきこと、やるべきこと、やってはいけないこと」について、多数の経験を基にアドバイスした書だ。

 三宅氏は「60歳になった時、いろいろなことを片付けないといけないと思うようになった」と、本を書いたきっかけについて、自身の経験を語りだした。2年前にがんを患い手術もしたといい、家族に対し「財産のこと、会社の後継者のことなどを伝え、財産目録を作り、遺言書も書いた」。それによって、家族は自分が何を受け継いで何を受け継がないかが分かり、安心につながるという。

  「60代は能力、人脈など経営者としての最高の実力がある時期。健康的にもまだまだいける」とした上で「70代になると、病気にもなり、気力もなくなっていく」と強調する。

講演する三宅社長

 ところが、M&Aに携わり、さまざまな中堅・中小企業の経営者と接する中で、多くの社長が事業承継の問題を先送りして手遅れになったことを見てきたという。中小企業庁のアンケートでも「経営者は相続・事業承継という後ろ向きなテーマは後回しにする」との結果が出ていると説明。三宅氏が会った経営者の中にも「息子を後継者にする」と言うものの、息子と2年も話をしていなかったり、いくら借金があるか、バランスシートがどうなっているかなども伝えていなかったりするケースがあったという。

 一方で、親から会社を受け継いだ2代目社長は大抵苦労していると指摘する。その理由について三宅氏は「創業者はカリスマ性がある」「事業のやり方が古い」の二つが原因としている。インターネットなどの技術革新で、経営環境は大きく変わっており、そのまま会社を親から引き継ぐのではなく、合併などで新しい経営として生まれ変わる「第二の創業」をすることが「絶対必要だ」と強調した。「創業だからカリスマ性が身につき、経営能力もつく」。後継者が親族でなく従業員の場合も同じだという。

 三宅氏は、経営者にとって最も重要なことは、企業の存続と発展であり、次に重要な、家族や一族の繁栄という両方が実現できて「成功者」といえる、としている。会場の大きなスクリーンを使って「人生には上り坂と下り坂」があり、15~20歳が将来の夢を見つける上り坂とする一方、65~70歳は気力、体力だけでなく記憶力やビジョンの構築力、人を引っ張っていく力なども衰えていく時期と説明。「最高の実力がある60代で方向性を付けて70代、80代を迎え〝伝説のおじいちゃん〟になってほしい」と締めくくった。

 三宅卓氏は1952年、神戸市生まれ。日本オリベッティを経て、1991年に日本M&Aセンターの立ち上げに参画。同社は2007年に東証一部に上場した。

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