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コロナなんかに負けるな!! 元気にいこうぜエイ、エイ、オー

 東京南西部の多摩ニュータウン近くにユニークな喫茶店がある。カフェ「シナモン」(多摩市東寺方1―2―12)。地元の多才な人たちが集まり、まるで梁山泊(りょうざんぱく)のような趣だ。コロナ禍にあっても収束後を見据えて元気に活動している群像の一端を紹介したい。

 ▼ロマンあふれる古道

 「歴史古道研究家」という珍しい肩書を持つ宮田太郎さん(61)。多摩市の旧鎌倉街道沿いに生まれ、育っただけに多摩地方一帯を研究のホームグラウンドとする。聞き取り調査や発掘、遺跡・伝承の研究など独自の手法で古道の歴史を解明。その研究から紡ぎだした物語を多くの人と楽しむため現地説明のガイド・ウオーキングを行う。

 東京都と神奈川県の境を多摩丘陵が走っているが、その丘陵に沿って「多摩よこやまの道」と呼ばれる遊歩道(全長十数キロ)が伸びる。万葉集の歌にも詠まれた古道で古代東海道の一部とされる。2005年、宮田さんはその古道でガイド・ウオーキングの一環として「防人(さきもり)まつり」を催した。古代装束に身を包んだ男女2人。男は九州防護のために赴く防人、女はその妻。参加者約170人が見守るなか涙の別れを演出した。防人は二度と戻ることはなかったといわれる。別離の舞台となったよこやまの道の小高い丘は「防人見返りの峠」と命名、今に伝える。

 宮田さんのフィールドワークは奥州古街道や北海道のアイヌの道など全国的に広がっており、これまでに取り組んだガイド・ウオーキングは4000回以上に及ぶ。コロナの影響で活動が大きく制約されていたが、今秋から本格的な展開に向け動きだした。

 ▼音楽はなくならない

 今回のコロナ禍で大きく打撃を受けた一つが音楽ライブ業界だ。カフェ常連客の川崎裕之さん(53)もその一人。東京・四谷でライブハウス「サウンド・クリーク・ドッポ」(略称ドッポ)を運営しているが、コロナ感染の比較的早い段階で営業を打ち切り、巻き返しを図っている。

 ライブハウスはステージ、音響機器を演奏家や音楽グループに貸し出し、その利用料金やお客の飲食代、グッズ類の販売収入などで切り盛りする。それぞれのハウスに個性があるが、ドッポは音楽リズムの要であるドラム類を充実したのが特徴だ。グランドピアノもあり、ポップス、ジャズ、クラシックなど幅広いジャンルに対応している。約100平方メートルの広さで50人収容の着席スタイル。

 川崎さんは11年にライブハウスを立ち上げ、ようやく黒字経営にこぎ着けたところにコロナ禍。「当初はどうなることか」と思ったが、政府の雇用調整助成金や持続化給付金、家賃支援などをフルに活用、9月下旬、営業再開に踏み切った。「音楽ファンは居なくなることはないので収束後を見通しながらじっくり…」と長期戦の構えだ。

 ▼多摩を元気に

 日本最大級の住宅団地、多摩ニュータウンの再生に取り組んでいるのが多摩市議会議員の篠塚元さん(54)。同ニュータウンは開発から半世紀以上たち、住民の高齢化、住宅の老朽化が進む。その活性化が大きな課題で篠塚さんは小、中学校の廃校跡地を利用した街づくりを提唱、行政に働き掛けている。学校は比較的広い面積があることから取り壊した跡地に住宅をはじめ老人ホーム、生活相談センターなどコミュニティー形成に必要な施設を配置。「そうすることで住民にとって建て替えに伴う引っ越しも1回で済み、負担軽減になる」という。

 篠塚さんは現在多摩市議3期目(ほかに東京都議会議員1期)。「多摩を元気にするのが私の使命、政治的な欲張りはしない」と地元にどっしり腰を据える。

 このほかカフェにはフィットネスのインストラクター、オカリナ奏者や細密画家、女性プロ歌手など多彩な人が出入りする。

オーナーの佐伯瑞絵さんと「シナモン」店内=10月17日(筆者撮影)

 ▼アットホームなたたずまい

 「シナモン」の創業は1975年で現在のオーナーは佐伯瑞絵さん(45)。手先が器用で編み物や縫い物を得意とする。新型コロナウイルス感染でマスクが不足していた時機に手製で約500個のマスクを縫い上げ、才覚のあるところを見せた。スマホやパソコンの操作にも詳しくアナログ、デジタルの二刀流だ。オーナーとしては3代目になるが店のトーンは一貫して家庭的な雰囲気。そこに人が集まる。

 

(ジャーナリスト 前川 芳一)

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