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沖縄の象徴・首里城を3Dで再現へ 体感アプリ開発でクラウドファンディング

アプリのイメージ

 戦後75年が経過し“歴史の風化”が懸念されている。太平洋戦争末期の沖縄戦で一般県民約9万4千人を含む日本人約18万8千人が犠牲になった沖縄県も例外ではないのだろう。首里城地下に掘られた沖縄戦当時の旧日本軍司令部豪の存在が、昨年の首里城火災であらためて注目された。「人命と文化を破壊した沖縄戦を象徴する遺跡」として豪の保存を求める声が高まっている、と地元紙(沖縄タイムス)は伝える。

 1492年の琉球王国誕生以来、琉球文化・歴史の象徴である首里城。沖縄戦で4度目の焼失を経験したが、県民らの努力で沖縄復帰20周年の1992年に復元。30年近く「県民の心の拠り所」として親しまれてきた。

 旧日本軍司令部豪が「人命と文化を破壊した沖縄戦を象徴する遺跡」として悲惨な戦争を繰り返さないための“戒め”だとすれば、復元首里城は、中国、朝鮮、日本、東南アジアと交流して独自の海洋国家として栄えた琉球王国の豊かな伝統を受け継ぐ「平和と多様性を育てた琉球(沖縄)文化の象徴」として沖縄県民の“誇り”といえる。

 司令部豪には先日テレビカメラが入り、内部が一般に公開された。旧日本軍が撤退時に秘密保持のため豪を爆破したため損壊が激しい。専門家は「崩落の危険性」も指摘しており、沖縄県は「悲惨な沖縄戦の実相を正しい後世に伝え、平和を希求する“沖縄のこころ”を広く世界に発信していく戦争遺跡」(沖縄県首里城復興基本方針)として豪の保存に取り組む方針だ。

 2019年10月31日未明に発生した火災で正殿含む建物8棟が焼損した「復元首里城」も、官民双方から復旧・復興に向けた力強い取り組みが始まっている。

散策アプリのイメージ

 火災後いち早く始動した民間側の取り組みとしてユニークなものの一つが、IT関連従事者らがボランティアで活動する「SUPPORT Shurijo みんなで見守る首里城復興プロジェクト」。3D(3次元)立体映像表示の最先端のAR(拡張現実)技術を駆使し、スマートフォン上に「3D首里城」を表示するアプリの開発を目指している。実物の首里城が復興されるまでの期間も、首里城を“体感”できるようにする。

 このアプリを使えば現地で3D首里城と一緒に記念撮影もできる。また自宅で画面を見ながら首里城内のバーチャル体験が可能。首里城公園内でGPS(衛星利用測位システム)と連動させれば、首里城伝説の生き物が表示される「公園散策アプリ」としても使える。また関心の高い首里城復旧・復興の進ちょく情報も得られ、復興支援金の寄付ツールとしても活用できる。“実物首里城”復興に向けた人々の機運を盛り上げるアプリだ。

 アプリの開発資金は600万円を見込む。プロジェクトメンバーは現在、600万円を目標に、インターネット上で支援を募るクラウドファンディングを10月23日まで実施している。支援金は9月30日正午時点で123万7500円集まっている。

プロジェクトメンバーの1人の松山さん

 「SUPPORT Shurijo みんなで見守る首里城復興プロジェクト」のメンバーの1人、松山幸世さんは、「首里城火災後すぐに訪問したメンバーが、明るく前向きに復興への決意を語る沖縄の人たちに感動し、自分たちにも何かできることはないかと立ち上げたのがこのプロジェクトです」と活動の狙いを語った。その上で、松山さんは「首里城がない状況での観光をサポートするためにARをつかった周遊アプリを企画しました。楽しんだ後には、そのまま沖縄へ支援するメニューも準備しています。OUR Shurijoプロジェクトにもご協力いただき、彼らが作成した3D首里城を現地でみることも可能です」と話す。

アプリ開発への支援を呼び掛ける北村健一・スターティアラボ代表取締役

 このプロジェクトにメンバーを送り出しAR技術を提供している、IT企業のスターティアラボ(東京)代表取締役を務める北村健一さんは「AR 技術を活用し、デジタル上で復元された首里城との特別な体験を通じて、火事による喪失感を少しでも埋めることができれば」と意気込む。

アプリの必要性を指摘する川上玲・一般社団法人OUR Shurijoみんなの首里城デジタル復元プロジェクト理事長

 また、このプロジェクトをサポートしている、一般社団法人OUR Shurijoみんなの首里城デジタル復元プロジェクト理事長を務める川上玲さんは「これまでに延べ3千人から(在りし日の首里城の)データ提供を受け、首里城正殿などの3次元モデルを作成した。3次元モデルを使って本当に魅力的な体験をもたらすためには、さまざまデザインやエンジニアリングによる仕掛けと、その体験を地域に還元することが必要」だとアプリ開発の重要性を強調する。

 アプリが開発されれば、首里城復興の歴史にまた新たな1ページが加わることだろう。クラウドファンディングはhttps://readyfor.jp/projects/support-shurijo

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