「食料・農業・農村基本計画」の確実な実施を JA全中の中家会長が強調、「めぐみフォーラム」で

 全国農業協同組合中央会(JA全中)の中家徹会長は9月1日、(株)共同通信社が主催する「めぐみフォーラム」で講演し、安倍晋三政権の後継政権に対して「農は国の基(もとい)、基本計画を着実に実行してほしい」と述べ、今年3月末に政府が策定した農業政策の新たな中期指針「食料・農業・農村基本計画」の確実な実施を要望した。

 基本計画は、5年前に策定した前回の計画と比べると、産業政策と農村政策を「車の両輪」と改めて位置付け、中小規模の農家や農村政策に配慮した記述になっている。食料自給率(カロリーベース)目標は2025年度に45%とする従来目標の達成時期を30年度に先送り、農林水産物・食品の輸出額を30年までに現在の5倍超の5兆円に引き上げる目標も掲げている。

 中家会長は「農村に住んでいる人が、無報酬の作業に参加するなど伝統や文化、コミュニティを維持することが大事だ。そこにJAが果たす役割がある」と述べ、農村政策を推進するには、農家や農業協同組合の積極的な関与が不可欠だと強調した。

講演するJA全中の中家会長

 安倍政権の農業政策については「農業改革などについて(JAの)組織内にいろいろな意見があるのは事実だが、(JA全中の)会長としては新基本計画にJAグループの考え方が取り上げられ、(農産物などの)5兆円の目標も前向きな取り組みとして受け止めている」と述べ、政権末期の安倍農政については一定の理解を示した。

 中家会長は、食料安全保障を脅かしている要因として、食料自給率の低下、農業生産基盤の弱体化、災害の頻発、世界的な人口増、グローバル化の進展の5点を挙げ、特に自給率について「1965年度の73%だったのが、2019年度は38%に低下した。前年度と比べると1ポイント向上したが、四捨五入で切り上がっただけで依然として低い」と懸念を示した。その上で、「こうした実態を国民に理解してもらうことが、食料安全保障につながる」と述べた。

取材に応じる中家会長

 農業生産基盤については、「国消国産」という表現で強化の必要性を強調した。新型コロナの感染拡大でマスクが不足したのを受けて発案した造語で、「国内で消費するものは国内で作るべきだという気持ちを込めた」という。

 中家会長は、8月20日のJA全中総会で会長に再任され2期目に入った。任期は3年。「不断の自己改革に取り組む」と抱負を述べた。めぐみフォーラムには、社団法人共同通信社に加盟する新聞社の記者ら約50人がオンラインで参加した。

 

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