災害調査で新兵器大活躍 ドローン、タブレットの活用で共済金支払いスピードアップ

先日の「赤坂自民亭」や、一昨年の「長靴を履き忘れたおんぶ政務官」など大きな災害時にはなにかと政治家の“地金”がむき出しになる。脳ある鷹(タカ)は爪を隠すが、ちかごろの脳天気な方(カタ)は“恥の爪痕”をSNSに残すようだ。

警察庁の発表では西日本豪雨(「平成30年7月豪雨」)の死者は225人に上る(7月30日現在)。気象庁が異例の緊急記者会見を開いて警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、被害の拡大を防げなかったことが悔やまれる。

1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災と大災害が繰り返されるたびに「教訓に学べ」とこれまた繰り返されるが、グラス片手に満面の笑みを浮かべている赤坂自民亭の「選良」の写真を眺めていると、「災害は忘れたころにやってくる」という寺田寅彦が残した至言が最高の教訓に思えてくる。人間は過去に学ばない!ということだ。

それでも西日本豪雨では過去の教訓を生かした“進歩”があった。JA共済連は7月27日に都内で開いた「平成29年度決算」の記者会見で、西日本豪雨の損害調査を従来より倍近くスピードアップしたことを明らかにした。たかが調査時間の地味な短縮に思えるが、災害時も先立つものはお金。被災者に一日でも早く共済金を届ける意義は大きい。

西日本豪雨でJA共済連が受け付けた事故(損害)件数(7月26日時点)は、建物が2万6,354件、自動車が2,954件。膨大な件数だが、建物でおよそ90%、自動車で85%、損害調査が終了した。このまま順調に行けば、8月上旬には大方、被災者への共済金の支払いを終えることができるという。支払い規模は300億円程度を見込む。

スピードアップの主要因はドローンの活用とタブレット型電子端末の使用による関係書類のペーパーレス化。災害で道路が遮断された中山間地域へはドロ―ンを飛ばして空から家屋などの損害状況を把握・査定する手法を試験的に導入、通常後回しになる「陸の孤島」化した調査困難地域への調査手法の改善に取り組んだ。

手間のかかる関係書類の作成もタブレットで電子処理する手法に切り替え、煩雑な記入作業などをなくして効率化した。このため調査担当者の1日当たりの処理件数は倍近くに増えたという。

JA共済連の柳井二三夫理事長は記者会見で「ベテランでもこれまで一日の調査件数は1人5、6件が精いっぱいだったが、タブレットの使用により10件近くになった。さらに業務の改善を進めていく」と話した。

人間は過去の災害で得た教訓をしばらくするとたやすく忘れてしまう生き物だ。それでも技術は確実に進歩する。新しい技術を積極的に取り入れ、被害の最小化と迅速

な被害回復に向けて地道な努力を続けていくしかない。

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