私学の雄“早稲田大学”の寄付講座 今年は大分県で現地実習

今年は「明治」150年。白虎隊の悲劇で知られる会津藩の会津若松市では「戊辰」150年だ。所変われば呼び名も変わる。一口に「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」といっても置かれた立場によって奏でる音色は十人十色だったのではなかろうか。

早稲田大を創立した大隈重信ならさしずめ文明開化一直線の澄んだ音色がしたかもしれない。出身地で起きた佐賀の乱には加わらず、外相時代に右脚を失う爆弾テロに遭いながらも首相にまで上り詰めた。大隈宅には野心満々の書生らが転がり込み、彼らの胃袋を満たすため、台所には、文明開化の象徴であるガスを熱源とする調理器具をいち早く据え付けた。東京ガスのホームページには、当時の大隈邸の広々とした台所の様子を描いた絵が掲載されている。

大隈の早稲田大は、福沢諭吉の慶応大とともに日本を代表する大学の一つに成長。時代に対応した改革を続け、「私学の雄」として有為な人材を数多く輩出してきた。

そんな早稲田大で注目されている取り組みの一つが2012年の開講以来これまでにおよそ1900人の学生が受講したJA共済連の寄付講座。学生たちが東日本大震災の被災地に実際足を運び、現地の生産者らと話し合いながら、“農”を起点にまちづくりを考える「現地実習重視」の講座として開いてきた。現地実習重視の姿勢は、国の「食育白書」(15年度)で優良事例として紹介されるなど、大学の授業の枠を超えた取り組みとして評価されている。

講座開設7年目を迎える本(18)年度は、対象地域を東北から大分県に移動。現地実習重視のスタイルは維持しつつ、農業と他業種が関わる「農福」「農学」「農景観」など農の多面的な側面に目を向ける内容とする。

大分県速見郡日出町のJAべっぷ日出「ふれあい市場 旬の館 日出店」で担当者の話を聞く学生たち。

6月15日から17日に大分県内の別府市や国東市などで行われた現地実習には、3日間の合計で早稲田大の学生計42人と有志で同行した聖心女子大の学生計12人が参加した。

学生は、班ごとに別れ、農業作業を通じて障害者らがコミュニケーション能力の向上を目指す「園芸療法」のほか、農作物の直売所やオリーブ栽培の現場などを見学。担当者や生産者から話を聞き、農の多面的な可能性に理解を深めた。

JA共済連は「農の多面的機能の視点から、地方創生の“気づき”を学生たちに提供したい」と、寄付講座の狙いを説明する。参加学生の成長に期待したい。

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